策士な外交官は計画的執愛で契約妻をこの手に堕とす


「あんまり、見ないでください」
「どうして?」
「すっぴんだし、恥ずかしい……」
「すっぴんも可愛いのに。じゃあ見えないように、もっとキスしようか」

素顔を見られて恥ずかしがる千鶴に呆れることなく、伊織は何度も角度を変えてキスをしてくれた。

それからどのくらい経ったのか、頭がぼんやりとしてきた頃合いを見計らった彼に、膝裏に手を回されて抱き上げられる。

「きゃっ!」
「寝室へ行こう」
「じ、自分で歩けますよ?」
「初夜くらい、妻をベッドに抱いていく権利を主張したいな」

伊織は楽しそうに言うと、難なく千鶴を横抱きにして寝室へと向かった。

今日の引っ越しで千鶴の自室に私物を運んだけれど、そこに実家で使っていた寝具はない。

今夜からは伊織と同じ部屋、同じベッドで眠るのだ。