「……っ、かわいすぎるだろ」
噛み殺したようなぼやきが聞こえた後、唇に柔らかくあたたかいものが触れる。ふわっと重なったかと思うと、すぐに離れていった。
正真正銘、好きな人とのファーストキスに胸がいっぱいになる。
そっと目を開くと、壮絶な色香を纏った伊織がこちらを見つめていた。
「千鶴からもしてくれる?」
「えっ、私から……ですか?」
「そう。触れてもいいと、君から許可が欲しい」
甘い懇願に、心臓がぎゅうっと疼いた。
恥ずかしいけれど、彼からの要求には応えたい。
千鶴はおずおずと彼の胸元に手を添え、えいっと首を伸ばしてキスを送る。
「こ、これでいいですか?」



