今日はあなたを困らせたい

「初めて会った日。遠藤が悪い子じゃないって分かったから。いつか、出てきてくれるって、信じてた。」

「タカさん……」

手も繋いでいないのに、心が温かくなる。


「もしかして、ストーカー?」

「バ、バカ言え!!」

クスクスと笑う私の頭を、タカさんは撫でてくれた。


「学校では俺の事、タカさんじゃなくて、先生って呼べよ。」

「うん。分かってるって。」

その時の私は、本当に久しぶりに、心からの笑顔を見せたような気がする。


「そうだ。タカさん、補習してくれるんだよね。」

「……ああ。そう言ってしまったな。」

面倒くさそうな顔。

それでも、嬉しいと思うのは、何故なんだろう。

「早速、今日からお願いします。」

「今日からか~。まあ、俺が言ったんだしな。」


学校に通ったら、タカさんに会えないと思ってた。

でも、補習で会える。

あんなに会いたくなかったタカさんに、こんなに会いたくなるんなて、

私は自分の心情の変化に、自分で驚いていた。