今日はあなたを困らせたい

「お金に困ってるなら、私が奢ってあげましょうか?先生。」

頬杖をつきながら、嫌みそうに言ってあげた。

メニュー表を置いたタカさんは、白い目で私を睨んだ。

「……ウソですよ。」


軽い冗談も通じない。

援交相手のおじさんとは、全く違う。


「遠藤はさ……なんであんな事、してんの?」

「それって、理由を聞いてるんですか?」

「それ以外に、聞いてる事あるか?」

「ないですね。」

「そうだろ?」


理由、理由……

理由かぁ。

そんなの、考えた事もなかった。



「……先生が言うように、寂しかったんでしょうかね。」

「そうか……」

公園で会った時は、弱さなんて見せるか!って言う思いがあったから、『寂しいのか?』って聞かれて、思いっきり否定したけれど。

今はタカさんが、とりあえず私の話を聞いてくれるって、分かってるから。

少しだけ素直になれたのかもしれない。