今日はあなたを困らせたい

「私の邪魔をしないでって、何度言ったら分かるの?」

これで5度目だ。

「あなたが邪魔するから。今日も私のお小遣いが、0だったじゃない!どうしてくれるの?」

「よく言うよ。自分だって嫌がってた癖に。」

「それは!」

正直、本当の事だけど。


「さあ。邪魔者も消えたし。飯でも食いに行くか?」

「ええ!?」

「ほらほら!」

あいつは私の手を取って、駅の方へと歩き出した。

温かい。

こんな手を繋ぐだけで、身体全体が、温かくなるなんて。


「着いたぞ。」

あいつが立ち止まったのは、見慣れたファミレス。

5回連続で邪魔され、5回連続で夕食はファミレス。

こいつに邪魔されなければ、もしかしたらお寿司とか、食べられたのに。


「で?今日もファミレスですか。」

「贅沢言うな。こっちは、安月給の身なんだぞ。」

そう言って、290円のドリアを、楽しそうに二つ注文している。