「……あぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

私は頭を抱えながら絶叫した。

「先生、そんなに取り乱さなくても」

「いやいやいやいやいや!! そんなこと言うわけないでしょ!? 酔ってたんだから!!」

「でも、実際に言いましたよ?」

「そ、それは……記憶がないからノーカウント!!!」

「え、そんなルールありました?」

「あるの!!!」

私は全力で首を振る。

「それに!! たとえ言ったとしても、それは酔っ払ってたからであって、本心じゃないし!!」

「じゃあ、本心じゃないってことでいいんですね?」

「もちろん!!!」

橘はふむ、と顎に手を当てる。

「じゃあ、僕がちょっとくらい先生にドキドキしてても、それは本心じゃないってことにしていいんですね?」

「………………………………は?」

先生、固まる。

「……え? ちょっと待って、今なんて……?」

「いえいえ、なんでも」

「いやいやいやいや、待って待って待って!! 今なんか意味深なこと言わなかった!?」

「言ってないですよ?」

「いや、言った!! 絶対言った!!!」

「気のせいです」

橘はあっさりと流す。

「それより先生、そろそろ原稿の話に戻りましょうか」

「え、えぇ……」

話を逸らされてしまった。

でも、なんだろう、このモヤモヤする感じ。

(……もしかして、私……気にしてる……?)