朝。

「……うぅん」

頭がズキズキする。最悪の目覚めだ。

「……なんか、すごく飲んだ気がする……」

先生はぼんやりと天井を見上げる。喉がカラカラに乾いている。

「……あれ、私、昨日……」

ゆっくりと起き上がり、周囲を見渡す。

「……ん?」

目の前には橘。

ソファで腕を組み、じっとこちらを見ていた。

「……」

「……」

「……おはようございます、先生」

「えっ? えっ?? なんで橘がここにいるの??」

「いやぁ、それはもう、先生が昨日……」

「昨日……?」

「思い出せません?」

「……全然」

「なるほど」

橘はじっと先生の顔を見つめたあと、ニヤッと笑った。

「じゃあ、先生が昨夜僕に何を言ったか、復習しますか?」

「…………は?」

嫌な予感しかしない。

「先生、僕のことがどうしたんでしたっけ?」

「え、えぇ……?」

「ほら、『橘って意外とかわいいよねぇ?』って……」

「は?????」

「『ドキドキしてたりして?』って……」

「…………」

「あと、『もし橘が本当にドキドキしてたらどうする?』って聞いたら……」

「聞いたら……?」

「先生、『それはそれでアリかもぉ?』って言ってましたよね?」

「……………………………………………………………………………………」

私、固まる。

「……うそ」

「本当です」

「いや、絶対嘘」

「本当ですよ?」

「うそだぁぁぁぁぁ!!!!!」

私は頭を抱えた。