「……ふふっ」
「お、いい感じですね」
「なによ、橘ぁ〜、なんか楽しそうじゃない?」
「先生が珍しく上機嫌なので」
酔いが回ってきたのか、頭がぽわんとしている。いつもなら絶対に言わないことを言いたくなる気分。
「橘ぅ、ほんとは私のこと好きなんでしょ〜?」
「おや?」
橘の目がきらりと光った。
(……あ、やば)
「先生、今の発言、非常に興味深いですね」
「ち、ちがっ……」
「いやいや、無理に誤魔化さなくても」
「ご、ごまかしてない……!」
「ふーん?」
橘が悪い顔をして私を見る。
(やばい、完全にからかわれる流れだ……!!)
でも酔った頭ではどうすることもできず——
「ねぇ橘ぅ……もう一杯飲んでいい?」
「どうぞどうぞ」
(……このあと何があったかは、正直覚えていない)



