「先生、ヤバいことになってます」

「まだ何かあるの!?」

「先生のファンアートが爆増してます」

「それは別にいいじゃない」

「いや、問題はその内容ですよ」

橘がスマホを見せてきた。そこには——

『椎名先生×担当編集・橘、禁断の社内恋愛!?』
『橘、椎名先生の取材対象だった説』
『担当編集と作家は一線を超えてはいけない(建前)』

「おおおおおおおい!!!!」

私は勢いよくスマホを奪い取り、目を疑った。
なんか妙に画力の高いイラストが大量に投稿されてる……!?

「橘!? これどういうこと!!?」

「僕が聞きたいですよ。なんでこんなことになってるんですか?」

「私が聞きたいわよ!!」

「しかもですね……」

橘がさらにスマホをスクロールする。

『“取材” って、そういうことだったんですね(察し)』
『リアルエロ漫画家の実態、暴露される!?』
『この関係、公式なの? 非公式なの??』

「ちょっと待って、これ全部嘘よ!?!? そんな関係じゃないから!!!」

「ですよねぇ……」

「笑ってる場合じゃないのよ!!!」

「でも、この流れだと映画のオファーも加速するんじゃないですか?」

「いらないわよ!!! こんな変な話で盛り上がるなぁぁぁ!!!」

私は机をバンバン叩いた。

「まぁまぁ、これも人気作家の——」

「宿命って言ったら怒るからな!!?」