「本日のゲストは、いま話題の官能漫画家 椎名先生 です!!!」

司会者のテンションの高さに、私はすでに後悔していた。

(来るんじゃなかったァァァ!!!)

「先生の作品、すごい人気ですねぇ!」

「は、はぁ……ありがとうございます……」

「今日はですね、先生の創作の秘密についてお聞きしたいと思います!」

(地雷っっっ!!!!)

私は無言で橘を睨む。

こいつ、絶対楽しんでるだろ。

「先生のリアルな取材方法についても、ぜひ!」

「えっ!? いや、それは……」

「先生、どうなんですか?」

司会者がノリノリで詰め寄ってくる。

「え、ええと……その……」

「先生、普段どんな取材をされてるんです?」

「それは……あの……」

「ではここで! 椎名先生の担当編集 橘さん にもお話を聞いてみましょう!!!」

(終わったァァァァァ!!!!)

ーーー

「いやぁ、楽しかったですね」

収録を終えた橘は、清々しい顔をしていた。

「……お前、覚えとけよ……」

私はもう、生きていける気がしなかった。