言っちゃった。

いやいやいや、なんでそんな少女漫画のヒロインみたいなセリフ出てきちゃうの!?!?!?

「先生……」

橘が優しく私の手を握ってきて、妙にしっとりした空気になってるけど……。

「……え、これってもしかして告白?」

って聞いたら、橘がめっちゃ微妙な顔になった。

「いや、先生がどう思ってるのか知りたかっただけで、別に告白ってわけじゃ……」

「は!?!?!?」

おいこら橘 じゃあこの手握ってるのはなんなの!?!?!?

「いや、雰囲気的に……つい……?」

「つい!?!? ついで人の手握るな!!!!!」

「先生こそ、僕のこと好きみたいな空気出してましたよね?」

「出してない!!!」

「いやいや、『もう、わかんないよ……』はどう考えてもフラグでしょ」

「ぐぬぬ……!!!」

私は机をバンッ!! と叩いた。

「もういい!!! これは全部取材!!! そう!!! 取材だから!!!!」

「え、何の取材です?」

「……エロ漫画の……」

「おおー! ってことは先生、僕のこと恋愛対象として意識してるんですね!」

「してない!!!!!」

「でも今、エロ漫画の取材って言いましたよね?」

「ぎ、技術的な話よ!!!!!」

「へえ~~~~」

橘の顔がニヤニヤしている。

「あー、これ僕の勝ちですね」

「は!?!?」

「先生、絶対僕のこと好きですよね」

「うるさい!!!!!」

「いやー、先生が僕のこと好きだなんてなあ」

「うるさいうるさいうるさい!!!!」

「これからも取材、続けます?」

「やめる!!!!!!!!」

「え、僕とエロ漫画の共同研究できないんですか?」

「二度とやらない!!!!!!!!!!!」

バン!!! と扉を閉めて、私は全速力で逃げた。

……なのに。

「先生」

すぐ後ろから、橘の声。

「また明日も、よろしくお願いしますね?」

「……っ!!!!」

くやしい、やっぱりコイツには勝てない。