「冗談やめてよ!!」

橘ってやつはほんと……

「それよりさ、理由とかあるの?本気で人を好きになれないのに」

「……理由、ですか」

歩いていた橘の足が、少しだけ止まる。

「いや、なんとなく……そんな気がして」

私の言葉に、橘は少し考え込むように視線を落とした。

「……先生って、勘が鋭いですよね」

「え?」

「たぶん、そうですね。ちゃんと人を好きになれないの、理由あるかもしれません」

「……」

「僕、小さい頃に両親が離婚してるんですよ」