橘の指が、私の顎をクイッと持ち上げる。

「なっ……!?!?」

一瞬、思考が飛んだ。
でも、すぐにヤバいと理解して――

「ちょ、ちょっと待っ――」

――ふわり。

唇が、触れた。

「…………」

一瞬の出来事。

けど、頭が真っ白になるには十分すぎるくらいの衝撃。

「……取材、ですよ?」

橘がそう囁いて、ゆっくりと離れる。

「……っっ!!!」

私は全力で椅子ごと後ろにのけぞった。

「!? 先生、大丈夫ですか!?」

「だ、大丈夫なわけないじゃん!!!!///」

心臓が爆発するかと思った。

「……あの、でも……参考には、なりました?」

「…………」

私は無言で、机に突っ伏した。

「……先生?」

「……もうムリ……」

こうして、私の心臓に悪すぎる取材は幕を閉じた――。