先生、それは取材ですか?


「……取材って、何を……?」

背中に感じる温もりに、思わず声が震える。

「んー……例えば、先生がどれくらい敏感かとか?」

「~~っ!?」

橘の声がやけに低くて、耳元で囁かれた瞬間、背筋がぞくりとした。

「冗談ですよ、そんなに緊張しないで」

「……も、もう、からかわないで……」

必死に平静を装うけど、背中越しに伝わる心音が妙に早くて、自分がどうなってるのかバレバレな気がする。

「……先生、可愛いですね」

「……っ、もう寝る!!」

慌てて布団をかぶる。

(何なの!? さっきから私ばっかり振り回されて!!)

「おやすみなさい、先生」

橘の声は穏やかで、まるで全てを見透かしているみたいだった。

(……もう知らない……!!)

瞼をぎゅっと閉じるけど、心臓の高鳴りはなかなか治まりそうになかった。