「……」
(無理、寝れるわけがない)
背中合わせに寝てるはずなのに、橘の気配が近すぎる。ていうか、こいつ絶対余裕だろ……!!
「先生、寝ました?」
「寝てたら返事しないだろ!!」
「ですよね」
(だったら聞くな!!!)
「……緊張してるんですか?」
「してない!!!」
即答したのに、橘はくすっと笑った。
「先生って、ほんと分かりやすいですよね」
「うるさい!!!」
「そんなに力んでたら、余計寝れませんよ」
「~~~~!!」
(分かってる!分かってるけど!!!!)
「ほら、深呼吸でもしてみたらどうです?」
「……っ」
仕方なく、ふーーーっと息を吐く。
――その瞬間。
「……っ!?」
不意に、背中に温もりを感じた。
(まって、こいつ、え、背中合わせじゃなかった!?)
「先生」
「な、何」
「寝る前に、もうちょっとだけ……取材、しません?」
(……こいつ、やっぱり余裕すぎる!!!!!!)



