先生、それは取材ですか?

「先生、顔赤いですよ?」

「うるさい!!!」

なんなの!? なんでこの取材、毎回こんなことになるの!?

「さて、じゃあ早速取材を――」

「今日は何もしません!!!!!」

「えっ」

橘が素で驚いた顔をする。

「そりゃ取材はするけど!! もう、この間みたいなことは絶対にしないから!!」

「……この間みたいなこと?」

「っ!!?」

橘がわざとらしく首をかしげる。

「先生、具体的にどんなことか説明してもらっていいですか?」

「絶対に言わない!!!!!」

「はは、冗談ですよ」

「……くっ」

なんなのこの余裕……。

(でも……正直、意識してるのは私のほうだけな気がする……)

そう思った瞬間、橘が私の髪をふわっと撫でた。

「……!?」

「先生、寝不足でふらついてるから、ちょっと休んだほうがいいですよ?」

(いやいやいや、その距離で言うのはずるい!!!)

「……先に温泉入ってくる」

「じゃあ、ご一緒に――」

「来るなぁぁぁ!!!!!」

私はダッシュで露天風呂へ逃げ込んだ。