「え、ちょ、待って……」

まじで頭が真っ白になった。いや、これは……完全にバグってる。

「二名一室……?」

橘もさすがに困惑している。

「すみません、予約ミスですか?」

旅館のフロントに確認すると、申し訳なさそうに頭を下げられた。

「実は他の部屋がいっぱいで……申し訳ありませんが、ご一緒にお泊まりいただくことになります」

「えっ、ちょ、無理無理無理無理!!!」

即座に拒否した。だって、一緒の部屋とか、絶対おかしいでしょ!?

「でも、今さら別の部屋も用意できませんし……」

フロントの人は申し訳なさそうな顔をしてるけど、こっちの気持ちなんて分かってないだろ!

「……まぁ、仕方ないですね」

「仕方なくない!!!」

なんで橘があっさり受け入れてるの!? おかしいでしょ!?

「先生、落ち着いて。僕も別の部屋があればそっちに移るつもりですけど、ないなら仕方ないですよ」

「仕方なくないってば!!!」

「じゃあ、僕がどこかで寝てきましょうか?」

「……それはそれで申し訳ないし……」

「じゃあ、このままで」

「いやいやいや!!!」

話が終わらない。いやもう本当にどうすんのこれ……