取材旅行当日、集合場所に向かうと、すでに何人かの作家たちと編集者が集まっていた。

「椎名先生、おはようございます」

「お、おはよう……」

橘の顔を直視できない。なんか普通に接してくるのが逆に怖いんだけど。

「先生、そんなに緊張しなくてもいいですよ?」

「別に、緊張なんて……!」

「じゃあ、顔赤いのは気のせいですか?」

「~~~~!!!」

こいつ、確信犯だろ。

「……行きますよ」

そっけなく言って、バスに乗り込む。