「……眠い……」

締め切り前日。
いや、もう日付変わってるから、今日が締め切り。

机に突っ伏しながら、私は虚ろな目でペンを握る。

「先生、寝ないでください」

「むり……」

「無理じゃないです」

「むり……」

「先生、もうペンが止まってますよ?」

「むり……」

「ほら、コーヒーです」

「……むり……」

「じゃあ、甘いのもありますよ」

「……」

机にドンと置かれたのは、私の大好きなコンビニスイーツ。

「……買ってきたの?」

「ええ。これで先生のやる気が回復するなら安いものです」

「……」

悔しい。
めちゃくちゃ悔しいけど……

「……ありがと……」

一口食べると、甘さが脳に染み渡る。
ちょっとだけ、生き返った気がする。

「……んで、橘」

「なんです?」

「なんでそこにいるの?」

「先生が寝落ちしないように監視してます」

「監視て……」

「じゃあ、何かあったら肩でも揉みましょうか?」

「うーわ、怪しすぎる」

「先生、疲れてますね?」

「そりゃ疲れてるわ!!」

「大丈夫ですよ、あと少しです」

「もうそれ100回ぐらい聞いた!!」

そんなことを言い合いながらも、結局私はペンを握る。

だって、やるしかないんだから。