朝、目が覚めると、カーテンの隙間から柔らかい光が差し込んでいた。
「……ん……」
体を動かすと、全身が少し重い。なんとなく、肌寒さを感じて布団を引き寄せようとした瞬間――隣の温もりに気づく。
(……あ……)
目を向けると、そこには橘がいた。
「……」
昨夜の記憶が、一気に頭の中を駆け巡る。
(……やっちゃった……)
心臓がドクン、と跳ねた。
「……先生?」
橘の低い声が耳元で響く。
「……起きてました?」
「……っ」
まともに顔を見られず、布団を引き上げる。
「……お、おはよう……」
「おはようございます」
少し笑う橘の声が、やけに落ち着いて聞こえた。
「……先生、どうですか? ちゃんと取材になりました?」
「っ!?///」
昨日のことを思い出して、顔が一気に熱くなる。
「そ、そんなこと聞かないで……!!///」
「いやいや、先生がリアリティ出したいって言ってたんじゃないですか」
「ち、違う!! こんなつもりじゃ……!」
「……後悔してます?」
橘の声が、少しだけ真剣になる。
「……」
後悔、してるのか?
昨夜のことを考えると、胸がざわざわする。でも、それは嫌だったからじゃない。むしろ、あの瞬間は確かに求めていた。
ただ――
「……これから、どうすればいいの?」
ぽつりと漏れた言葉に、橘は少し考えるように視線を落とした。
「先生がどうしたいか、ですよ」
「……私は……」
答えが、すぐには出なかった。



