先生、それは取材ですか?

「?」

気づけば、私は橘の袖を掴んでいた。

(えっ、ちょっ、私なにやってんの!?)

「先生?」

「……っ」

橘が振り返り、まっすぐこちらを見る。

(え、ちょ、めっちゃ見られてる……!! なんか、言わなきゃ……!!)

「……えっと、その……」

「その?」

「……なんか……」

(なんかって何よ!! 私!!)

「先生?」

「…………」

もう限界だった。

「な、なんでもない!! おやすみ!!!」

勢いよく袖を離し、自分の部屋に飛び込む。

「……ふぅ……」

ベッドに倒れ込んで、ようやく息をついた。

(なにやってんのよ私……!!)

心臓がバクバクとうるさい。顔も熱い。

(……あのまま引き止めたら……どうなってたんだろ……)

考えた瞬間、余計に熱くなってしまい——

「……もう寝る!!」

枕に顔を埋めて、無理やり思考を止めた。