メイファンが支配を進める私たちの街で、紫禁嬢の脅威を更に強めるキッカケとなったのが、
翌月のこの日、2月14日のバレンタイン暴走での事件。
「うわ~、もはや大名行列じゃん、これ」
国道を流してる最中、私は後方を走る仲間の多さに唖然とした。
「なるべくパトカーとメイファンに距離を作れってご命令だからね。
こんだけの台数で縦に広がれば、そりゃケツモチも見えなくなるよ」
「そういえばメイファン、流しに出てくるの久しぶりだね」
「ああ~、なんか優が言ってたけど、これからはデカい流し以外はあんま出て来ないみたいだよ」
「ふうん。
暴走族なのに暴走しないお姫様、か」
あまりに巨大すぎるエンジン音で、アクセルを吹かすと私たちの音がかき消されてしまう為か、メイファンはあまりシナらず、ただ低速で先頭を走行しているだけだった。
「メイファーン、今日は港行くの?」
「行かないよ。
このまま繁華街を一周して、後は国道だけ流す」
「そっか、わかった」
今夜は花魁道中の引退式。
そこに水を差すのも野暮な行為だし、紫禁嬢は港に行くべきではない。
まあ、メイファンが他のチームを相手にそんな気を回す訳もないだろうから、たんなる気まぐれで決めたルートなのだろうが。
「あれどこのチーム?」
そんな事を考えていると、私たちと入れ違いで繁華街方面から出てきた女の集団とすれ違った。
「大奥だね、県南の」
「ふうん」
その時だった。
その集団を横目に見ていたメイファンが、急にブレーキをかけ、その場に停車した。
「どうしたの、メイファン」
「‥‥‥‥」
視線の先を追うと、メイファンはすれ違う大奥のメンバーの一人を見ていた。
「‥‥紫の単車?」
「‥‥‥‥。」



