紫禁嬢─魅せられし夜





風香たちはバケヨンに三日月型のエンパネ(延長テール)を取り付けると、見せびらかしたくなったのか、颯爽とどこかへ走りに向かった。







「左京の単車、終わったんでしょ?

ルシファー行こうよ」



「うん」



「いやいや、終わってねえっすから、サヤさん」







仕上げの部分は本人と智子に任せ、私たちはルシファーへと向かった。







「メイファンは?」







最近、ルシファーに行くと口癖の様に同じ質問を投げかける私。







「来てませんよ。

セイラさんはエミリさんに単車の練習させるって、さっきどっか行きました」



「ふうん」







メイファンの指定席に着席すると、離れたテーブルに居た春子が私の隣に来た。






「おっす」



「暇だよ春ちゃ~ん。なんかオモロイ事ない?」



「あったらルシファーに来てないっしょ」



「だよね~」







チーズケーキとホットコーヒーを注文していると、春子が思い出したかの様に言った。







「そういえば来月、花魁のウチらのタメの奴らの引退集会あるらしいよ」




「ああ、バレンタインにやるチーム多いよね、ウチらの地元」







サヤがそう言い、暴走族に詳しくない私は二人に尋ねた。







「暴走族って18で引退すんの?」



「まあ、チームによるけど大体そのくらいで、遅くても二十歳までには引退するね。

成人してから共同危険行為で検挙されると少年法で守られなくなるし、

18才になると正社員とか深夜の時間も働ける様になるから、家庭の事情で働かないといけない奴らはそっち優先にするよね」



「ふうん」