トイレから戻りイスに座ると、隣のレーンでプレイしていた左京がメイファンの前に来た。
「メイファンさん、そろそろディスコにナンパ行って来ます」
「中入るの?」
「いえ、金ムダなんで外でやります」
「風香たちも連れてって中でやりな」
メイファンはそう言って、五千円札を左京に渡した。
「どうもっす」
金を受け取った左京は、真琴や風香らとボーリング場から出て行った。
「ナンパってなに?」
「勧誘とか、薬やってそうなバカ探したりするのにうってつけなんだよ、ディスコは」
「ふうん」
娯楽施設の少なかったこの時代、ディスコに溜まる不良は少なくとも入場料を毎日払える程度には遊ぶ金を持っている。
なので、メイファンの仕事で物を売りつけたりする場合、ディスコに客を探しに行くのは効率が良いらしい。
「薬まで手に入るの?」
「なんでも用意できるよ。
いけないお薬でも偽造パスポートでも」
「左京もよくやるねえ。
一番張り切って仕事してんじゃん」
「中途半端にお金が好きな風香らと違って、左京は使えるよ。
ああいうのがもっと欲しいな」
「‥‥‥‥」
おそらく、メイファンが言う組織の主軸は金なのだろうが、それを生み出す為には人手がいる。
その結果、レディースとしての表向きの活動は単なるスケープゴートと化し、何の違和感もなくメイファンの手の平で転がされる左京の様なバカが生まれ続ける事となる。
それ故に思う。
紫禁嬢の本質であるメイファンという人間の、更に深い所に存在する本質とは何なのか。
「セーラ、ねこまんまってどこで食べれるの」
「‥だから、何の本読んでんだよ‥」



