頑なに拒否すると、メイファンは三万円を財布に戻した。
「なら、ストックしておくね。
必要な時は言って」
「はいはい、どうも」
このやり取りを苦笑いで見ているサヤは、三千円をサッサとポケットにしまった。
「それと、今週は忙しいけど、あまり走らないのもあれだから、来週辺り少し流そうか」
「連絡網まわすのも一苦労だね。
こんだけ人数増えると」
「セーラがね」
この時代に携帯電話やPHSは普及していなく、ポケットベルが主流になるのさえまだ数年先。
その為、メイファンと私たちの中継みたいな立場に居たセイラは公衆電話を多様する為、いつも100円玉やら10円玉を大量に持ち歩かなくてはならなかった。
「今はまだ、そうでもないぞ。
淫我は優、四天玄女は明理、エミリアならお前らのどっちかに連絡すりゃ、あとは勝手に他の奴らに伝わるからな」
「族じゃない奴らが大量に入って来たら大変だね~。
電話ボックス担いで移動しなよ、怪力グマさん」
「誰がクマだ」
私たちのやり取りに、メイファンはクスッと笑った。
「その辺も考えなくっちゃね。
大変だねえ、組織ってのは」
(‥‥‥‥)
紫禁嬢の事を、チームと呼ばず組織と呼んだメイファン。
深い意味は無いのかも知れないが、少しだけ違和感を感じた。
「サヤもたまにはシノギ手伝ってね」
「あ、うん‥」
「アンリは別にいいけど」
「なんで?可愛いから?」
「うん」
「気持ちこもってなくない?」



