紫禁嬢─魅せられし夜





これだけ派手に暴れまわっていれば、レディースだけではなく男の不良の間にも噂が広まっていてもおかしくはない。



二人の男は店先で従業員のお兄さんにぺこっと軽く頭を下げると、どこかへ去って行った。








「ちょー、ちょー、アンリ!」



「?」








タバコを吸い終えて外へ出ると、何やらサヤが興奮していた。








「今の北帝連の葛西風吹じゃん!」



「誰それ、どっち」



「デカい方!

メッチャかっこ良かったー」



「有名なの?」



「レディースなら誰でも知ってるよー。

最強の不良で最強に顔が良いんだもん」



「ふうん。なんか無愛想でイラッとしたけど。


ぜったい性格悪いよ、あいつ」







単車を直す進行状況を眺めていると、従業員のお兄さんがボソッと呟いた。







「性格は良いけど、女癖はワリーよ」



「お兄さん知り合いなの?」



「後輩」



「ふうん」








その後、しばらくサヤとボケーッと待っていると、単車の整備が終わってお兄さんが立ち上がった。







「終わったぞ」



「ありがとうございまーす。

千円いります?」



「いらねえからタバコの吸いがら拾って帰れ」



「どうもっす」