紫禁嬢─魅せられし夜





セイラ以外の人間は、あまりに巨大な爆音を前に放心状態となり、メイファンが軽くアクセル吹かして出発すると、我に返り慌てて後に続いた。








「‥‥凄い音‥‥心臓まで響く‥」










サヤはメイファンの斜め後ろに付くと、顔を歪めながらボヤいた。








「リッタークラスの直管とか‥‥

あんなんでシナられたら鼓膜破られちゃうよ‥」




「‥‥‥‥」









集団の先頭を、我が物顔で走るメイファン。


鮮やかな特攻服と長い黒髪を風になびかせ、その存在をこの街に知らしめるかの様、巨大な轟音を響かせ続けた。









(これが‥‥メイファンの声と色‥‥)








初めて悪を綺麗だと思った。



思えば、私の初恋はあの後ろ姿だったのかも知れない。









「‥‥綺麗な‥女‥‥」



「ええ?なんか言ったー?」









会話すらままならないこの轟音が心地良い。



さっきまで考えていた小さな事なんて、もうどうでもいい。









「‥‥‥‥」









見つけた物じゃない。


私はただ一方的に魅せられただけ。




メイファンという女の美しさを。









「アンリー、どうしたの?」



「‥え?‥ああ、なんでもない」



「?」