紫禁嬢─魅せられし夜





幼なじみのサヤは暴走族。

女のチームなので世間一般的にはレディースと呼ばれている。





「ちょうど今アンリの家に行こうとしてたんだよ。

ルシファーでお茶しようぜ」



「ルシファー?

またケンカの助っ人のお願いとか言わないよね?」



「当ったり~」






ここからバイクで10分程の場所にあるルシファーという喫茶店は、サヤのチームがたまり場にしている場所だった為、私はすぐに暴走族関係の話があるのだと察した。






「‥あのさぁ、この前もそうだけど、私がサヤのチームの助っ人としてケンカするっておかしくない?」



「なにが?」



「部外者が戦って勝ったところで、別にサヤのチームが強いって事にはならないっしょ」



「じゃ、アンリも入る?」


「やらねぇし‥暴走族とかクソださい‥」






そもそも今年18才になるというのに、それこそこんな中途半端な時期にグレるというのも抵抗がある。






「今回で最後だからさぁ、お願いアンリ。

ネネとかいうヤバい奴が居て、ウチらだけじゃヤレそうにないんだよ」



「やらなきゃいいじゃん。

そもそも今回はなんでケンカになったの?」



「え、別になってないよ。

有名な奴だから、やっつけなきゃいかんでしょ」



「‥‥アホくさ。理由なきゃヤンないよ。

それじゃ武力じゃなくただの暴力だし」



「かたいこと言うなよ~、ルシファーのチーズケーキおごるからさ」



「‥‥‥」