その日の夜。
茶の間でテレビを見ていると、台所仕事を終えた母親がお茶を持って現れた。
「最近なにしてるの、あんた」
「ん?別になんも」
「‥‥‥」
お茶をすすり、私が観るテレビに視線を向けながら、静かな声で話を続ける母親。
「サヤちゃんと一緒にバイク乗ってるみたいだけど、盗んだ物じゃないでしょうね」
「違うよ~。ちゃんとサヤが買ったやつ」
「バイクに乗るなとか言うつもりはないけど、無免許で運転するくらいなら免許を取りなさい」
「‥‥‥‥」
「盗んだバイクに乗るくらいなら、買ってあげるから自分のバイクに乗りなさい」
「‥どうしたん?急に」
あまり小言を言うタイプでもない母親だった為、私はお菓子を口に運ぶ手が止まった。
「好きに生きるのは止めないけど、人様に迷惑はかけちゃダメよって事」
「悪人ぶっ倒すのは?」
「ほどほどに良し」
「アハハハッ、さすがママ」
母親はクソオヤジに従ってばかりだが、頭ごなしに子供の言動を否定したりもしない為、不良になったからといって親子関係が険悪になったりはしなかった。
「ママさあ、なんであのオヤジと結婚したの?」
「顔とお金」
「アハハハッ」



