紫禁嬢─魅せられし夜





もう着る事のない制服を自室のゴミ箱に投げ入れ、私服に着替えた私は外へ出て当てもなく歩き始めた。






(さ~て、何をすべきか)






柔道が視界から消えた勢いもあるが、父親への当て付け的な意味も含めての自主退学だった為、私は唐突に出会った無気力にこんにちはが言えずにいた。






(ん?‥この音は)






これからの事を考えながら近所を歩いていると、後ろからウルサイ単車の音が近づいてきた。






「よう杏里ー、学校はー?」



「辞めたよ、さっき」



「高三のこの時期に?

アハハハッ、バッカだー」



「バカに言われたくないわ」