紫禁嬢─魅せられし夜





わざわざ場を改めてここに呼んだ理由。


それはおそらく、背後に居るヤクザを見せつける事で、私たちに脅迫まがいの決断を迫る為だ。







「で、でも‥

ウチらのチームの先輩たちが、なんて言うか‥」



「大丈夫、私が何も言わせない」



「‥‥‥」







平成とは異なり、この時代の暴走族やレディースの全てのチームに暴力団の介入があった訳ではない。

無論、サヤのチームにもケツモチと呼ばれるヤクザが付いていた訳ではなかった為、サヤの先輩達を黙らせる事など、この女からすれば安易な事だったに違いない。








「もう一度聞くね。

私の下に付く?それとも抗う?」



「‥‥‥」







戦っても勝てない事は重々承知しているはず。

ましてや背後にヤクザが付いている相手となれば、サヤの返答は分かりきっている。







「‥‥本当に、先輩らの事はなんとかしてくれるの?」



「安心していいよ、それは保障する」



「‥‥‥」







情けない表情を浮かべ、仲間達を見渡したサヤは、小さな声で返答した。







「‥‥分かった。下に‥付くよ‥」



「そう、ありがとう」



(‥‥‥)