紫禁嬢─魅せられし夜






優れた柔道家は、組み合った瞬間に相手の強さを知ることが出来る。


私は今まで数々の男と対戦してきたが、これ程までに相手の強さをハッキリと認識した事は一度しかない。






(‥こいつ、バケモノだ‥‥


クソオヤジと‥同じ感じがする‥‥)






サヤを蹴り飛ばした方の女よりも全然細い身体付きなのに、まるで大岩にでも手をかけたかの様な重い手応え。


おそらく私がどんなに力を込めて引っ張ったところで、このメイファンという女はびくともせず、得意の投げ技まで持って行く事は不可能だと瞬時に悟った。







「‥どうしたの、やらないの?」



「やらない」



「え、アンリ!?」