店内に入る中学生たちと入れ違いに、メイファンが会計を終えて出てきた。
「アンリ、このお店は紫禁嬢が守る」
「なにから?」
隣に腰かけ、ビニールいっぱいのお菓子に目を輝かせる悪の女王。
「キャッツとかどうすんの?」
「ヤルよ、いずれ」
全国に広がる広域暴走族と聞いた為か、この街のレディースの一つや二つ、この手に持つラムネの大量に消えゆく気泡と同じくらいの価値に思えてきたが、
そもそも私は成り行きでこの不良の世界に関わりを持っただけなので、そこの世界の人間がどうなろうと関心はない。が、
もちろん彼女だけは例外。
「私さあ、あの夜、メイファンの後ろ姿を見て綺麗だって思ったの」
「へえ、どの夜だろう」
闇夜に浮かぶ禁色の羽織りに黄金の刺繍。
メイファンの長く綺麗な髪が、どの方向へ風に流されたかも鮮明に覚えている。
「いつからか好きでした。結婚して下さい」
「曖昧だな~。
何月何日か思い出したら考えてあげる」
「クソ‥日記つけとけば良かった」



