嫌いなものは病院なの-Second-

神谷先生side


救急からの連絡で玲菜ちゃんが搬送されてくるとのこと。
前回の受診時の様子だと急に悪化する状態ではなかったはず、、、。


「内科神谷です。状態は?」
救「校外での持久走中に倒れたとのこと。意識レベルはかなり低い状態です」
持久走!?まさか、、、


潤「玲菜ー!わかるー?聞こえたら手握って!玲菜ー!」
さすがにこの場に結城を置いておくのは危険か。


「結城、悠馬くんに連絡してもらえる?」
潤「はい」


一旦玲菜とは離す。
モニターのアラームが鳴り響くとスタッフの動きはさらに機敏になる。
救「挿管します!もう1本ラインとって!」

どうにか最悪の事態だけは避けられた。
が、、、


―面談室

「意識が戻らない。玲菜ちゃんの力を信じるしかない」
悠・潤「、、、」


悠馬くんは上を向いて必死に涙をこらえてる。
「相当辛いと思う。我慢はしなくていいよ。落ち着いたら学校に状況の確認をしよう」


職業柄命の危機や別れの場に立ち会うことが多いとはいえ、家族となるとそれは相当なものだろう。
少しそっとしておくために結城と席を外す。

玲菜ちゃんはICUでのモニターが続く。
診察をしても嫌がらない姿がなんともつらい。



悠馬side


玲菜が救急搬送。意識が戻らない。
わけがわからない。
「何でだよ!!」
怒りなのか、悲しみなのか、苦しみなのか、後悔なのか、感情がわからない。

気を遣って神谷先生たちが退室した相談室で1人しばらく泣いた。
玲菜に会いに行く勇気がない。
ごめんな、こんな弱っちい兄ちゃんで、、、泣



―その後


「この度は大変申し訳ございませんでした」と深々と頭を下げる学校の先生たち。
教頭先生と学年主任の先生、担任の先生が病院に来た。


「学校で何があったのか教えてもらえますか?」
玲菜の友達から聞いたという話も含めて説明をしてくれた。


、、、言葉が出ない。


隣のクラスの子数人から、病気でもないのに仮病で持久走に参加しないのはズルい!と言われ
本当のことを言っても信じてもらえなかった玲菜は無理やり参加させられた。
玲菜の友達は止めようとしてくれたが、数人相手だと敵わず先生に助けを求めに行き、先生と玲菜のもとに行くとすでに意識が朦朧としていた。


「許せない、、、。その子たち連れてきてください!自分たちのせいで玲菜がどうなったのか見せてあげますよ!」
神「悠馬くん、落ち着いて?たしかに許せない気持ちは痛いほどわかるよ」


俺としたことが、、、ついカッとなってしまった、、、。

神「玲菜ちゃんは数週間前に“自分の心臓は強くなるのか”と聞いていたようです。以前から学校でのトラブルがあったように推測できますが、、、」


先生「申し訳ございません。今回トラブルになった学生との話ができていない状態ですので、その件については現状はなんとも言えません」
神「学校側は把握していたのでしょうか?玲菜ちゃんのみならず日頃から配慮の必要な学生への対応はどうされていたのでしょうか?」


都合の悪い話になると“わからない”と濁す先生たちに神谷先生も怒りを通り越して呆れるほど。


「今日のところはお引き取り願えますか?“わからない”ばかりでは話になりません。改めてお話ができたらと思います」



「神谷先生、ありがとうございました。ちょっと、感情的になってしまって、、、」
神「いやいや!僕の方こそ。、、、しかし呆れたものだね、、、悠馬くんも無理しないように!」



それから玲菜のいない自宅に帰ることは少なくなり、
時間がある時には玲菜の病室に行き、身体が固まらないようにマッサージをしながら普段のように話しかける。


「玲菜さ、よっぽどいい夢見てんの?そろそろ良くない?(笑)」
玲「     」
「みんな寂しがってるよ!戻っておいで(^-^)」
玲「     」


小児科の医局長もムリしなくていいと言ってくれるけれど、
普段通りに過ごしている方が気持ち的には楽なんだよね。
今の俺には少々忙しいくらいがちょうどいい。