とりあえずわたしたちは珈琲を゙飲みながら、虹子のことについて話し合った。
桔梗さんが休みの日は、桔梗さんに虹子をお願いし、日中の勤務や夜勤などで留守にする時はわたしが桔梗さんの家に行き、虹子のそばにいることにした。
幸いだったのは、わたしはパソコンさえあれば仕事が出来るということ。
そうじゃなければ、こういった形での生活は難しかっただろう。
それから、わたしたちの連携を取りながらの虹子との生活が始まり、それと共にわたしたちの仲も深まっていき、いつしかお互いに下の名前で呼び合うようになっていた。
「ただいまぁ。」
「おかえり〜」
夜勤明けでクタクタな状態で帰宅してきた和音は、リビングに入って来るなり、崩れ落ちるように床に手を付いた。
そこに虹子が「にゃぁ〜」と和音に擦り寄っていき、それが和音にとっての癒しになっていて「虹子〜!」と和音は虹子を抱き締めていた。
そんな姿をみることが、いつしかわたしの中では愛おしくなっていて、恋人でもない和音に対して心が燻るようになっていたのだ。
「ご飯できてるよ。食べる?」
「食べる!腹減った〜」
そう言う和音に、わたしは朝食らしく、目玉焼きにウインナー、味噌汁に白米を出した。
そんな大した事ない朝食でさえ、和音は「わぁ〜!旨そう〜!」とまるで欲しかったおもちゃを目の前にする子どものように喜んでくれる。
そうゆう純粋で真っ直ぐなところが、わたしは彼の好きところだった。



