時雨るる虹はどこか


虹子は、一日だけ病院で様子をみてもらうことになり、わたしは次の日に虹子を迎え入れられるよう準備を進めた。

しかし、一つだけ問題があった。

それは、わたしが住むマンションがペット不可な事だ。

防音対策がされている、そんな立派なマンションではない。
ごく普通のマンションだ。

もし見つかったら、、、
でも、虹子を保護センターに預けたくはない。

大切な小さな命をわたしが守りたい。

どうして、人間はこんなにも勝手な生き物なんだろう。

欲しければ買って、要らなくなったら捨てる、、、

動物は物じゃない。
ちゃんと命があって、感情だってある人間と同じ生き物なのに、、、

あんな小さな段ボール箱に入れられ、公園のベンチの横に置かれて、飼い主が自分を置いて行く後ろ姿を虹子はどんな気持ちで見ていたんだろう。

雨も降り、寒い中ひとりぼっちされた虹子の気持ちを考えると涙が溢れてきてしまった。

「よし、とりあえずこれだけあれば大丈夫かな?」

獣医さんにアドバイスをもらいながら、揃えた猫用品。

あとは明日の朝イチで虹子を迎えに行くだけだ。

早く会いたい。

Webデザイナーで在宅ワークのわたしは、パソコンを目の前にしながらも虹子のことで頭がいっぱいになり、なかなか仕事が進まずにいたのだった。