無自覚男子にキュン!




あーあ。


この際、もう会うことがないように、思ったこと全部言ってみようかな。


金城くんは友達の視線に嫌気がさしたのか、舌打ちをしてしまう始末。


何で今、会っちゃったかな。


1人でどうこう頑張っても、報われる確率が低い。


「じゃあ…私は帰るから。
金城くん、もう会わないよ」


「……おい、先輩行っちゃうぞ。
いいのかよ」


先ほどまで金城くんの世話を焼いてくれているであろう友達が、咄嗟になって金城くんに意見を求め始める。


でもね、ごめん。


もう話すことないんだ。


話すことがないというより、話したくない。


もう少しガツンと言ってしまおうかと思ったが、このままあの時と同じように言い合いなんてしてしまえば、思い出が咲き、金城くんのことを間違えて許してしまうかもしれないと思ったから。



「勝手に帰れば」



「そうだよね、ごめん」



下を向いたままの金城くんを最後に見て、私は自分の意思で背中を見せて歩き出す。


おそらく周りからしたら、前に進んだ訳ではないと思うって言われるかもしれない。


だけど、自分が考えたことだ。


きっと間違いではない。



金城くんの変わらない性格に、あの頃恋していた私と同じ感情にならなかったのは、つまり恋愛感情に関しては綺麗さっぱりであること。


それだけが分かって良かったのだ。



"うん"と心の中で自分の考えに返事をする。



歩く。


歩く。


丸かった背中が段々と背筋が伸びていくのが分かる。



明日、3人に話そう。


少しだけ自分なりに前に進んだかもって。








「…………ひゃ!」






驚きのあまり、歩いていた足が止まる。


というより、止まざるを得ない状況だ。



「えっと………」


「ごめん胡桃、俺やっぱまだ…」


「ちょちょ、ちょっと待って」