「愛須くん!!!」



みんなで互いの顔を見つめ合い、青春に浸っていたが
突然、後ろから声がする。



あ、あれ。


この声は確か……


航くんに駆け寄る、可愛らしい女の子。


この子確か、昨日の放課後に航くんと教室を出た子。


同じクラスメイトで、確か名前…名前は



初美(ハツミ)ちゃん」


航くんが呼ぶ名前で、ああ!と思い出す。


初美 弥栄子(ハツミ ヤエコ)ちゃん。


4人以外と話すことなど滅多になかったから名前が出てこなかった。


他のクラスメイトとも仲良くなってみたいな。


お?これはもしかしてチャンス?


「愛須くん!今日も手伝ってくれる…?」


「放課後?」


「…うん、ダメ……?」



これはなんだか、入る隙もない。


なんというか、バリアを張られている気がするのは、気のせい?


それに、何故だか溢れ出す邪気とやらと、それにプラスで睨まれているような……


「ごめんね初美ちゃん。
今日はもう大事な用が放課後に入ってるんだ」


「えぇ〜〜」


「あれ、胡桃ちゃん放課後でいいんだよね?」


突然の航くんからのフリに驚く私。


「あ!うん!そうなんだけど…もしあれだったらそっち優先して!私のはいつでも大丈夫だから」



こう言うと、初美さんはパァ!と表情が明るくなる。


私もあんなふうに可愛くありたいな…なんて思っていたら、青空くんが私の横に入り、怖い顔をしていた。



「愛須、こっちが先やろ?」


「えっ青空くん、大丈夫だよ私のはいつでも」


「なに言いよーとや!ちゃーんと自分の意思くらい持っとけって!」



「そうだね。胡桃ちゃんごめんね。
ちゃんと放課後聞かせて?」


あらら。


航くんがそう言うと、案の定初美ちゃんの表情は落ち込んでしまっていた。


これは初美ちゃんと仲良くなることは程遠い目標になってしまったかもなぁ。