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次の日の朝、私は決意を固めて教室に入る。


いつもの光景に、少しの安堵と少しの緊張が私を困惑させている。



「おはよっ!航くん」


「うん、胡桃ちゃんおはよ」



朝から見る、爽やかな笑顔の航くんに、なんて素敵な人なんだと改めて感じるのだ。



日差しがかかる教室に航くんの肌の白さが一層目立っている。


キラキラしていて、思わず見惚れてしまう。



「どうした?」 



しまった。


見惚れすぎて、航くんを困らせてしまったかもしれない。


と、いつも以上にネガティブな思考に走ってしまう。




「あ!ううん!
傷、どう?まだ痛いよね」



「心配しすぎだよ。余裕余裕」


「本当かなぁ…無理してない?」


「俺は胡桃ちゃんのその優しさが心配だな」


「え?」


「自分のことを1番に考えてみるのも大事だよ」


「私のこと…?」


「うん。人のこと気にしすぎて自分のこと後回しにして、気持ちが壊れてしまった後じゃ、もう遅いんだ。
でもまあ、難しくても、俺が胡桃ちゃんのこと守ってあげるからね」



朝から驚くくらいのド直球な優しい言葉。


私は、固まることしかできない。



「あはは、胡桃ちゃん口ぱくぱくさせて小鳥さんみたいだよ」


「へえ!?」


なんとも情けない声が教室中に広がる。



「ちょっと愛須さん朝から甘すぎるわよ」


「貝崎さん!」


良いところに!とでも言うかのようなテンションで貝崎さんを見つめてしまう。