「なんで泣きよるとや…お前」
「え!?
いや、なんか、ちょっともう…分かんない」
青空くんも貝崎さんも、もちろん航くんも驚いたような顔で動きを止めて私を見る。
「どうしたのよ。まだ怖い?」
貝崎さんがすぐさま私の隣に移動し、顔を覗き込む。
「ううん、もう大丈夫。
大丈夫なんだけど、なんか」
「はっきり言えや」
「楓、言い方」
航くんは、また怖い顔をして青空くんに怒る。
もうその光景が、心地いいんだ。
だから、苦しいんだ。
「………嫌いにならないでっ」
言葉に出そうとすると苦しくて、でも、これだけは言いたくて。
自分の想いを伝えることがどれだけ難しくて、どれだけ相手を信じれるか。
私はきっと今、神様から与えられた一度きりのチャンスを掴もうとしているんだと思う。
じゃないと、普段の私からこんな言葉でてこない。
「嫌いになるわけないでしょ」
航くんの言葉に続いて、2人は何も言わなかったけれど、表情には力強い信頼を読み取ることができた気がしたよ。
明日、話そう。
3人を信じよう。

