警察署で話す2人と、付き添いの私たち。
散々怒られたのか、青空くんは不貞腐れ、航くんは困ったかのように頭を掻いていた。
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「で、なに。
あんたら2人でこんなになるまで喧嘩してたのか」
「俺らがやられたっちゃ!やった奴は逃げたっちゃけん!」
警察は、何故か2人だけでケンカしていたと見立てていて、埒が明かないと青空くんは怒鳴ったのだ。
私と貝崎さんで必死に「助けてくれたんですよ。本当に」と弁解をし、なんとか分かってくれた。
もちろん、恋夜世奈さんの名前もきちんと伝え、あとは警察で動くからもう揉め事は起こすな、ということになったのだ。
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「傷、痛む?」
隣で歩く航くんに私は問う。
「大丈夫だよ」
いつまでも優しい顔つきの航くんに感情が読み取れず、少し不安だけど、助けてくれた事実に私は一生感謝するんだと思う。
「なんで平気っちゃ!?俺、めっちゃ痛かっちゃけど!」
「あなたは騒ぎすぎなのよ。愛須さんを見習ってよね」
「はあ!?俺がおらんかったら、マジで危なかったやろが!」
「うるさいわね!方言男って言われてたくせに!」
「あ!お前こそ一匹狼の女っち言われとったやんか!」
「うるさいなぁーふたりとも」
あんなことが起きても、みんないつも通り私の隣にいてくれる。
こんなに幸せを感じてしまっていいのかな。
まだ、私の過去を話していないのに。
このままでいたら、みんなの優しさを踏み躙ってしまいそうで怖い。
どうしてこんなに優しいの…?

