「いじめられてた女が、高校に入って新たな自分で再出発…とかダサすぎだから!」
恋夜さんの言葉に恋夜さんの仲間たちも一緒になって大声で笑い、馬鹿にする。
これの流れが続き、終いには
「方言男と一匹狼女と友達ねぇ、なんか分かるわ。
残りもの……ってとこ?キャハハ」
私を庇う2人のことも悪く言う始末。
最悪だ。
とてもとても最悪な気分だ。
さっきまでの楽しかった青春が一気に壊され、2人の表情からも全くの別の感情が読み取れて、心が痛いや。
「ねぇーー、庇うふりしてもどうせ空っぽなのバレバレなんだからそいつ庇うのやめなよー!」
何も返事ができない。
ただただ、視界が暗い。
「はぁーもう世奈飽きちゃったぁ。
方言男と一匹狼女はいいから、あいつだけ連れてやっちゃっていいよ」
「りょーかい」
4人の男が動き出す。
私の体は固まったまま。
4人のうちの2人は、青空くんと貝崎さんの方へと向かっていく。
「やめて…」と言うと、男は私を睨み、また笑っているように見えて心地が悪い。
もちろんその様子を見て女たちもクスクス笑っている。
まるで無関係であるかのように。
「離してください…!」
一瞬の隙も与えることなく、力の強い男2人に腕を掴まれる。
「ちょっと!漣さんをどうするつもりよ!」
「こっち来んか!おい!」
無駄だというかのように、私の抵抗にも2人の声にもお構いなしに男たちの力は強まっていく。
優しくもない力が皮膚を圧迫し、額に汗が滲んでいく。
お客さんもあっという間に逃げるかのように出て行き、いない。
残っている人は写真を撮る好奇心旺盛の助けてもくれないモラルのない人ばかりだ。
このゲームセンターは、学生達の溜まり場でもあり、警察もよく見回りにくるというのに。
いつ来てくれるの……
私ってこんなについてないの………
「その子に触るな!!!!!」
あれ……?
今の声って………
あれれ、意識が遠のいててもしかして幻聴まで聞こえてくる感じ?
あはは、どうしよう。
なんで、航くんの声が聞こえてきたのかな……

