___
私たち3人は時間も気にせず楽しんだ。
「ちょっと青空さん!もっと右よ!」
「は!?もっとはよ言わんね!」
2人は相変わらずの会話だったが、私はそれが嬉しかった。
何度も何度も2人のやりとりを見ては、心が温かくなるのを感じ、目に涙を浮かべそうになるのを必死に耐えるのだ。
そして2人に気づかれないように、真っ黒の頭の中を整理しようとする。
いじめの過去は消えないし、掘り返されるのも時間の問題。
2人も航くんも、いつか私の性格に呆れる日が来るかもしれない。
それでもこの思い出はないことにはできないから。
「おい、なんば黙っとーとや。次はお前がせんね」
ぼーっとしすぎたのか、青空くんに肩まで叩かれる。
「ごめん!私!?」
「ああ、ここから押すっちゃけんね」
「ありがとう…」
なんだか気を遣わせちゃったみたい。
だけどここは……
「貝崎さん!青空くん!なに狙って欲しい?」
「「え?」」
「絶対取るから、欲しいの言って?
うさぎがいい?それとも右のくま?」
「青空さん、決めていいわよ」
「よかよ、お前が決めんね」
「……なら、くまがいいわね」
「…分かった!」
2人とも困惑している様子で私を見ていたのが伝わる。
私、少し間違ってるのかな。
いやいや、今は集中しないと…!

