「じゃあ帰りましょう」
「あのさ、貝崎さん…」
「なにかしら?」
「えっと…さ、よかったら寄り道してかない?」
「漣さん、あなた今の状況分かっていってるの?」
「分かってる、勿論分かってるんだけど。
貝崎さんとは仲良くなって数ヶ月経ってるのに、まだ寄り道とか…したことないし………」
貝崎さんの視線は上を向いていて、随分と長い時間悩んでいたと思う。
やっぱりダメかな。
危ないからって理由で一緒に帰ってくれるわけだもんね。
こんな危なっかしい言葉、言っちゃいけなかった。
反省反省……
「やっぱ、帰…」
「しましょう」
「そうだよね、帰ろうかな…………って、え?」
まさかの言葉に一瞬嘘かと思い、驚く。
「今なんて…」
「ちょっとはしゃぎたい時があるでしょう。
私もちょうどそういう気分だわ。
だから、寄り道に賛成よ」
「ほ、ほんとに!?」
「驚きすぎよ。
だ、け、ど!!!
愛須さんにはゼッッタイに内緒よ?」
「うん!!!!」
まさかまさか、友達とこんなこと……夢みたい!
浮かれてか、「早く早く」と貝崎さんを急かす私に貝崎さんはずっと笑っていた。
「おーい、俺んこと忘れとらん?」

