横にいた貝崎さんが私の腕にチョイチョイと肘で合図し出す。
「?」
「顔に出てるわよ」
え!
小声で教えてくれたのは良いが、私はその貝崎さんの言葉のおかげでもっともっと顔が赤くなり始める。
これはモヤッとした感情のせいではない。
貝崎さんに気持ちがバレたのではないかという恥ずかしさで顔が赤くなってしまっている。
「じゃーー胡桃ちゃん気をつけて帰るんだよ?」
「…うん!ありがとう、ございます」
貝崎さんが変なことを言うから何故か意識してしまい敬語になってしまう。
「漣さんのことは私に任せて」
「俺より頼りになるの?」
「ええ、私は漣さん一途だもの」
「行くわ、じゃ」
あらあら。
本当に優しい航くんはどこへ…?
先に教室を出て行く航くんが、横にいる女の子に優しく微笑む横顔がチラッと見えてしまい、少し心が痛い。
いや、だいぶ痛い。

