「お邪魔かしら?」
「いや?」
貝崎さんの言葉にすぐに返答をする航くん。
「なら何か言いたいならはっきり言って」
「……帰りは胡桃ちゃんのこと、よろしくお願いします」
ひぃ〜〜。
何故ここまでギスギスしてしまっているのか
原因に検討がつかない私は
小さく体を縮こませて2人の間を通り抜ける。
航くん、私や他の女の子たちと接するように貝崎さんや青空くんにも甘々な部分を見せればいいのに。
もっと良い友達の関係になれるに違いないのになぁ。
でも、これが私の特権ならば
これはこれでいいのかな、なんて思ったりして。
「愛須くん!今日日直だよね?」
1人のクラスメイトが、航くんの元へ駆けよる。
「うん。どうしたの?」
「あ、あの。一限目の準備の手伝いしろってさっき先生に言われて…でもちょっと1人じゃキツくて」
「分かった。朝礼終わったら行こっか」
「ありがとう…!」
ほらね。
女の子に優しい天然無自覚男子。
でも、私の周りの貝崎さんや恋夜世奈さんの前では
こんなに甘々じゃない。
まだまだ分からない事だらけ。

