「航くん私大丈夫だよ」
彼女は相手が女でも男でも容赦せずに、バックにいる強い男の人を使って何でもする。
このままだと本当に航くんにまで迷惑をかけてしまう。
「大丈夫じゃないから震えてるんでしょ」
小声で優しく言う航くんに、私はこれまで我慢していた恐怖への涙が溢れ出す。
その姿に、彼女たちは鼻で笑う。
「愛須くんはこの子のなに?
彼女でもないこの底辺な女を守っても何も楽しいことないでしょう?
よかったら私と一緒に行動しようよ」
彼女がどんなに悪いことをしているとしても
このビジュアルだ。
大抵の悪い女が好きな男の子は、きっとまんまと引っかかってしまうのだろう。
「普通に嫌っすねー」
…………おっと?
容赦ない、迷いのない言葉。
ただ、この言葉に彼女たちは驚いたかのように
口を開けたまま返す言葉もないようで固まってしまっている。
「行くよ、胡桃ちゃん」
「あっはい!」
腕を引っ張られ、そのまま私たちは
多くの人に視線を向けられても
気にすることなく歩き出す。
「なによ、こいつ中学でいじめられてたくせに!!!」
…………
………え?
頭が真っ白になる。
私は足を止めた。
というより、動けなかった。
……………
………………………
…………
なんで私の過去を知ってる人が……

