無自覚男子にキュン!





真っ白な肌に、走ってきたからだろうか紅く染まった頬が目立つ。



少し上がったまつ毛にも、



透き通った柔らかい瞳にも



「これ君のかなって…」



優しく微笑んだ男の子に私は見惚れてしまう。



「あれ、聞こえてる?」



「えっ!あ!ごめん」



廊下の真ん中で会話を繰り広げる私たちに、周りは気になりながらも避けて歩く。



「これ、君の?」



男の子の手には制服の赤いリボン。



一瞬にして私は顔を真っ赤にする。



視線は男の子が手に持ったリボンだが、私は両手で本来あるはずのリボンの位置を確認する。



「ない……!」



てことは、やっぱり



「やっぱり君のだ。よかった」



「ありがとう、ございます」



「桜の木に引っかかってたよ。今日風強いからリボン、家でつけてきなよ」



ものすっごく笑われている気がする。



確かに制服のリボンの位置が気に入らなくて、歩きながら着けようとした私が1番悪いけど

後できちんと探して、見つからなかったら先生に言おうとしてたし



恥ずかしさから言い訳がどんどんでてくる。



「はい」とリボンを渡し、男の子は去る。




まだ顔が赤い。



男の子が私を手招きしたのは、きちんとした理由があったのに。



自分の解釈で都合よく考えて…馬鹿だなぁ。




男の子の去る背中を見つめて、小さくお辞儀する。