「私のことやっぱり覚えてないのね」
本当に、なんのことを言っているのかさっぱり分からない。
それは、本当に記憶がないのか体調の悪さでかは分からないが。
「はい…」
彼女らに私の体調の悪さなど知ったこっちゃないのだろう。
私は振り絞った声で一言発するのが精一杯だった。
「昨日私があなたに声をかけて、愛須くんの名前を教えてと頼んだら、あんたバカにしたように無視したじゃない」
「そーよ、世奈様に失礼じゃないの」
主犯は世奈様と言うらしい。
そんなことよりも、私は本当に限界だった。
「ごめんなさい…私ちょっと気分良くなくて」
「はあ〜!?あんたこの世に及んで逃げようってんの!?」
違います。
本当に体調に限界が訪れているんです。
体調が良くなったら精一杯思い出して、そして私に非があればきちんと謝りに行きますから。
今はどうか見逃してください。
「ちょっと、さっさと立ちなさいよ」
立てないぐらいに、痛くて気分が悪いのに
伝わらないもどかしさ。
「や、ちょっと…」
「謝りなさいよ!!!」
強引に腕をもってかれ、一気に体温も奪われていき、何故だか足が痺れて、唇も感覚がなくなっていく。
ダメだ、このままだと……
「その子から離れて」

