長い開祭式が終わり、私はもう限界だった。
5月と言っても、だんだん暑くなる時期。
喉も渇き、汗だくの私。
ふらふらしながらも、校内に向かって歩き出す。
青空くんと貝崎さんは、最初の種目の準備に加わる関係で開祭式が終わるとすぐに収集がかかっていた。
2人にはきちんと約束したから、大丈夫。
大丈夫、なんとか歩けている。
「ちょっと」
もう少しで日陰だ。
大きな桜の木を抜ければ、外から保健室に入れるはずだ。
テントに向かいたいところだったが、案の定すでに満員だった。
「ねえちょっと」
おそらくサボりの生徒が最多数だろう。
ベッドに寝れるだけでも、有難い。
「ねえってば、ちょっと聞いてんの!?」
え?
「…ッ!!??」
肩を掴まれよろける。
散り終えた桜の木に思いっきり背中を打ち、私はその場にしゃがみ込むように転んだ。
痛い……
背中にジンジンと鋭い痛みがはしる。
ゆっくりと目を開け上を見上げると、知らない女の子数名が立っている。
彼女らの顔は険相を帯びていて、まるで私に恨みがあるかのようだった。
ただただ私は、痛みと暑さと気持ち悪さでどうにかなりそうだ。
「あんた、愛須くんのこと独り占めする気なの!?」
「馬鹿みたい。あんたみたいな隠キャ相手にするわけないんだから」
「私を無視するなんていい度胸よね!」
言いたい放題だ。

